「アフターピルを飲んだのに陽性?なぜ?」
アフターピル(緊急避妊薬)は、避妊に失敗した際に妊娠を防ぐために服用する重要な手段です。
しかし、アフターピルの妊娠回避率は98%程度で、妊娠阻害率*は84%程度といわれており、リスク行為が危険日だった場合は妊娠してしまう確率は16%ほどあります。
排卵日付近だった場合、アフターピルを飲んでもおよそ6人に1人が避妊に失敗するという確率です。
結論として、アフターピルを飲んだのに陽性となってしまった場合は、服用タイミングや方法を間違えてしまったために効果が薄れてしまい、妊娠してしまったケースの可能性があります。
この記事では、アフターピルを飲んだのに陽性反応が出る理由や、避妊に失敗するリスクについて詳しく解説します。
妊娠検査薬はリスク行為から21日後に使用すると最も確実な結果がでます。陽性反応が出た場合には1日でも早く産婦人科にかかりましょう。
*妊娠回避率と妊娠阻害率とは
妊娠回避率は、危険日(排卵日付近)を考慮せずに、アフターピルを飲んで妊娠した人の割合。妊娠阻害率は、危険日を考慮し、排卵がある可能性の時期も含めて妊娠を阻害できる割合。
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本記事は、厚生労働省刊行の緊急避妊薬ファクトチェックに基づいて作成をしています。医師の処方箋なしの並行輸入品や個人輸入品で販売される海外製品は副作用や臨床的に実証された避妊効果がない可能性もあるため、必ず医師の診断のもと服用をしましょう。当サイトの記事はコンテンツ制作ポリシー・広告掲載ポリシーに基づき制作しています。また、ランキンの作成にはオンラインピル診療利用状況と満足度調査の分析概要2024年下半期-ピルクリニックの調査結果を参考にしています。
アフターピルのを飲んでも陽性になる確率は?アフターピルの妊娠確率
アフターピルを飲んでも陽性になる確率は1.4%程度です。おおよそ、71人に1人が陽性となる確率です。
アフターピルは100%妊娠を阻害する効力はなく、ピルの種類や服用タイミングなども効果に影響を与えるからです。
例えば、以下は、アフターピルを期限時間内に服用しても妊娠する割合を比較した表です。
薬剤名 | 効力 | 妊娠率※ |
---|---|---|
ノルレボ(レボノルゲストレル) | 72時間以内に服用 | 1.34% |
エラ | 120時間以内に服用 | 1.4% |
プラノーバ(ヤッペ法) | 72時間以内に服用 | 3.2% |
他にも、排卵日付近であった場合にはアフターピルを服用しても妊娠が回避できる可能性は低くなります。
また、アフターピルを服用するタイミングが遅くなると妊娠率が高まるとの臨床結果も出ています。※
アフターピルはリスク行為後できるだけ早く服用しましょう。
※ノルレボ錠1.5mg-アスカ製薬株式会社,Ulipristal acetate taken 48-120 hours after intercourse for emergency contraception-PMID:20093897-Paul Fine at al,緊急避妊法の適正使用に関する指針-日本産科婦人科学会
アフターピルを飲んだのに陽性だった!妊娠検査薬の信頼度は?
妊娠検査薬の精度は99%といわれており、市販であっても病院の検査するのと同じ精度で妊娠を確認することができます。
妊娠検査薬では受精卵の着床後に分泌されるhCGホルモンの存在を確認します。性行為後21日以降に検査を行うと、信頼度が高まります。
早すぎる検査では、hCGの濃度が十分でなく、偽陰性が出る可能性があります
アフターピルを飲んでも陽性だった場合には、妊娠をしている可能性があるので1日でも早く産婦人科にかかりましょう。
ただし、妊娠検査薬を正しく使用できていない場合には誤った結果が出る可能性があります。
例えば、妊娠検査薬を使っても誤った結果が出てしまうケースは以下の通りです。
- 検査結果を出てから結果をみるタイミングが遅くなりすぎると偽陽性が出る可能性があります
- 尿をかけすぎると偽陽性が出る可能性があります
- 尿中に蛋白や糖が含まれていると偽陽性が出る可能性があります
特に妊娠検査薬のタイミングが重要なためリスク行為から「21日後に」妊娠検査薬を使用しましょう。
アフターピルを飲んだのに陽性が出る理由は?避妊に失敗する原因5選
アフターピルは高い避妊効果を持ちますが、100%ではありません。アフターピルの服用後にも妊娠してしまうことはあります。
結論、アフターピルを飲んでも避妊に失敗する可能性がある主な理由は以下の通りです。
これらの理由を理解して、アフターピルの使用方法や注意点に従い、リスクを最小限に抑えることが重要です。
アフターピルを飲んだのに陽性が出る理由1:性行為からの時間が経ちすぎていた
アフターピルは、性行為後できるだけ早く服用することで効果を発揮します。
アフターピルは72時間以内に服用するのが望ましいですが、時間が経てば経つほど効果が低下します。
服用タイミング | レボノル | エラ | プラノーバ(ヤッペ法) |
---|---|---|---|
0~24時間後 (1日目) | 95% | 98% | 77% |
25時間~48時間後 (2日目) | 85% | 98% | 36% |
49時間~72時間 (3日目) | 58% | 98% | 31% |
73時間~96時間 (4日目) | – | 85% | – |
97時間~120時間 (5日目) | – | 85% | – |
特に性行為から72時間を過ぎて服用した場合、避妊成功率が大幅に下がり、妊娠のリスクが高まることがあります。
72時間を超えると全く効力がなくなる訳ではないので、時間を超えてしまっても受診をしましょう。
アフターピルを飲んだのに陽性が出る理由2:服用したアフターピルを嘔吐してしまった
アフターピルを服用した後、2時間以内に嘔吐してしまうと、薬が体内に吸収されない可能性があります。
この場合、避妊効果が期待できず、妊娠のリスクが残ることになります。
嘔吐があった場合は、すぐに医師に相談し、必要であればもう一度ピルを服用するなどの対応が必要です。
2時間以降に嘔吐した場合には、十分にアフターピルが吸収されているので再度服用する必要はありません。
アフターピルを飲んだのに陽性が出る理由3:他の薬との飲み合わせが悪かった
アフターピルは、他の薬との相互作用によって効果が低下することがあります。
特に、抗けいれん薬、抗生物質、セイヨウオトギリソウ含有食品(ハーブの一種)などが、アフターピルの有効成分であるホルモンの代謝を早めてしまい、効果が十分に発揮されない場合があります。
これにより、避妊効果が期待できず妊娠してしまうリスクが高まることがあります。
アフターピルを服用する際は、現在使用している薬について医師に相談することが重要です。
アフターピルを飲んだのに陽性が出る理由4:妊娠阻止率が低いアフターピルを服用してしまった
アフターピルには複数の種類があり、その効果には違いがあります。
ノルレボ(レボノルゲストレル)などの新しいアフターピルは妊娠阻止率が高いですが、特に古いタイプのヤッペ法は、妊娠阻止率が全体で51%とされており、失敗する可能性が他のピルに比べて高いです。
また、時間の経過において効力が低下する割合も著しく、リスク行為後49~72時間以内にヤッペ法をした場合には妊娠阻害率が31%まで低下するとの結果が出ています。
ヤッペ法はホルモンの含有量が少ないため、効果が低く、避妊に失敗するリスクが高まることがあります。
アフターピルを飲んだのに陽性が出る理由5:アフターピルを服用した後に性行為を行った
アフターピルは、過去の性行為に対する緊急避妊薬であり、服用後の性行為には効果がありません。
アフターピルを服用した後に、新たに性行為を行った場合、ピルの効果はその後の行為には及ばず、新たな妊娠リスクが発生します。
ピルを服用した後も、コンドームなどの他の避妊方法を併用することが推奨されます。
アフターピル服用後に新たな性行為を行った場合、妊娠回避率は63%まで下がってしまいます。
アフターピルを飲んだ後に避妊に成功しているか確認する方法
アフターピルを飲んだのに陽性だった場合に、妊娠しているのか、避妊に成功しているのかどちらか確認したいですよね。
そこでこの章では、アフターピルで避妊に成功しているかどうかを確認する方法を解説します。
アフターピルを服用した後、避妊に成功したかを確認するためには、以下の方法で確認ができます。
いづれかの兆候が発生すれば避妊が成功している可能性が高いです。
リスク行為後から21日以降に妊娠検査薬を使用する
アフターピルを服用しても、避妊に失敗している可能性を排除するためには、妊娠検査薬を使って確認することが最も確実でおすすめです。
リスク行為後、少なくとも21日が経過したタイミングで妊娠検査を行うのが最も正確です。
この時点で、hCGホルモン(妊娠に関連するホルモン)が体内に十分に増加しているため、妊娠しているかどうかを正確に判断できます。
21日よりも前に妊娠検査薬を使用しても正確な結果が出ない可能性があるため、正しい使い方で検査を行いましょう。
アフターピルを飲んだ後に月経がくるかどうか
アフターピルを服用した後、月経が来るかどうかも避妊の成功を確認する重要なポイントです。
アフターピルを服用するとホルモンバランスが一時的に崩れるため、月経が通常より早く来たり遅れたりすることがあります。
レボルノ(レボノルゲストレル)服用後、生理予定日または2日後以内に80%以上が月経がきて、月経予定日の7日後に95%の人が月経がきます。
しかし、月経が予定日から7日以上遅れた場合や異常に生理が軽い場合は、妊娠の可能性があるため、妊娠検査を行うべきです。
早めの確認が妊娠に関連する対応を迅速に進めるために重要です。
アフターピルを飲んだ後の消退出血が起こるかどうか
消退出血は、アフターピルを服用した後に発生することが一般的です。
これは、ホルモンの変化によって起こる月経のような軽い出血であり、アフターピルが適切に作用しているサインとも言えます。
ノルレボ(レボノルゲストレル)の消退出血の発現率は46.2%で、およそ2人に1人は発生します。
通常、服用後5〜7日以内に発生する可能性が高いですが、出血が起こらない場合は、避妊が失敗している可能性を考慮し、妊娠検査を行うことが重要です。
アフターピル服用後に新たな性行為を行った場合、妊娠回避率は63%まで下がってしまいます。
アフターピルを飲んだ後の不正出血の量や状態はどうか
アフターピルを服用した後、ホルモンの急激な変化によって不正出血が起こることがあります。
この出血は通常軽度で、少量の血が混じる程度ですが、月経の日程とは別で出血の量や期間が異常に多い場合は、医師に相談する必要があります。
不正出血自体はアフターピルの効果に問題があるわけではありませんが、長期的な大量出血は体調に影響を及ぼす可能性があるため、適切な処置が必要になる場合があります。
2週間以上のような長期の不正出血がある場合には、止血処置が必要になります。
アフターピルを飲んだのに陽性だった時にやるべきことは?
アフターピルを飲んだにもかかわらず妊娠してしまった場合、適切な対応を迅速に行うことが重要です。
まずは、以下のステップを踏むことで、体や精神的な負担を軽減するようにしましょう。
最終月経の6日後から11週未満に産婦人科を受診する
アフターピルを飲んだにもかかわらず妊娠が確認された場合、できるだけ早く産婦人科や婦人科を受診することがおすすめです。
妊娠初期(特に最終月経の6日後から数えて12週まで)は、流産のリスクが高い繊細な時期です。
この時期に妊娠が継続するかどうかが決まりやすいので、早期に医師に相談し、必要な検査やアドバイスを受けることが重要です。
また、特に望まない妊娠の場合は、初期中絶の期限について知っておく必要があります。
日本では、妊娠22週未満であれば中絶手術が可能ですが、初期中絶(妊娠11週未満)のほうが、身体的リスクや手術の負担が少なく、一般的に選ばれる時期です。
望まない妊娠の場合、22週以降は現行の法律上いかなる理由があっても中絶はできません。
両親やパートナーに今後について相談する
妊娠が確認された場合、一人で悩むのではなく、両親やパートナーに相談することが重要です。
特に望まない妊娠の場合、感情的な不安や未来の不確実性に直面することがあります。
信頼できる人と一緒に今後の選択肢について話し合うことで、精神的なサポートが得られ、冷静な決断をする助けになります。
パートナーには、二人での未来をどうしたいのか、子どもを育てるかどうか、中絶を検討するかなど、具体的な話を共有しましょう。
パートナーの意見を聞き、お互いの気持ちを尊重しながら今後の方針を決めることが大切です。
抵抗のある話題ですが、周囲の人に協力を仰ぐことが重要です。
アフターピルを飲んだのに陽性だった時に関するよくある質問
アフターピルを服用したのに妊娠した人はいますか?
はい、アフターピルを服用しても妊娠してしまうケースはあります。緊急避妊薬を服用したのに妊娠してしまう割合はおよそ71人に1人です。
アフターピルは高い避妊効果を持っていますが、100%ではありません。ノルレボ(レボノルゲストレル)の妊娠率は1.34%であり、服用タイミングや他の要因により効果が低下することが報告されています。
ヤッペ法の場合、避妊成功率はさらに低く、妊娠してしまう確率が3.2%程度とされています。また、服用タイミングが49時間を超えると42%もの人が避妊に失敗をしてしまいます。
アフターピルの服用で失敗する理由はなんですか?
アフターピルの失敗理由は、『服用タイミングが遅くなった』『2時間以内に嘔吐してしまった』『薬の飲み合わせが悪かった』などが挙げられます。
まず、服用タイミングが遅い場合、避妊成功率が低下します。
特に性行為から72時間以上経過してからの服用は効果が著しく低くなります。
また、アフターピル服用後2時間以内に嘔吐した場合、薬が体内に吸収されず避妊効果が発揮されないことがあります。
さらに、抗てんかん薬や抗生物質など他の薬との併用による相互作用で、アフターピルの効果が低下することも失敗の原因になります。
ピルを飲んでいるのに陽性が出たらどうしたらいいですか?
ピルを正しく服用しているにもかかわらず、妊娠検査で陽性が出た場合、まずは妊娠検査薬の再確認が必要です。
もしも陽性が続く場合は、速やかに産婦人科や婦人科を受診し、医師に相談してください。
ピルの服用中に妊娠する可能性は非常に低いものの、100%避妊できるわけではありません。
特に飲み忘れや、他の薬の併用によるピルの効果低下が原因の場合があります。
医師の診断に基づいて、今後の対応や妊娠継続の可能性を考えることが重要です。
アフターピルの信頼度はどれくらい?
アフターピルの避妊成功率は高いものの、100%ではありません。
最も一般的なレボノルゲストレル(ノルレボ)は、72時間以内に服用すれば98%の避妊成功率を持っています。さらに、服用時間が早いほど成功率が高まります。
一方で、ヤッペ法は全体で約85%の避妊成功率ですが、ピルの服用タイミングや、嘔吐などによって効果が低下することがあります。どちらも早期に服用することが重要です。
アフターピルを服用した後にしてはいけない行動はありますか?
アフターピルを服用した後、避けるべき行動があります。まず、服用後2時間以内に嘔吐してしまうと、薬が十分に吸収されず効果が得られない場合があるため、その場合は医師に相談して再度服用する必要があります。
また、アフターピルの効果が十分に発揮されるまで、新たな性行為は避けるべきです。
アフターピルは過去の性行為に対する緊急避妊薬であり、服用後の性行為には効果がないため、コンドームなどの避妊を徹底してください。
アフターピルが効いているのはいつわかる?
アフターピルが効いているかどうかは、服用後に月経が来るかどうかである程度確認できます。
通常、アフターピルを服用した後、遅くとも月経予定日から7日後には月経がくる割合は95%です。
この時期に月経が来た場合、アフターピルが正常に作用したと考えられます。
しかし、月経が1週間以上遅れた場合は、避妊に失敗している可能性があるため、妊娠検査薬を使用して確認するのが良いでしょう。
また、アフターピル服用後の消退出血が見られる場合も、ピルが効果を発揮しているサインとされますが、これは全ての人に見られるわけではありません。
排卵後にアフターピルを飲んでも意味ない?
排卵後にアフターピルを服用しても、避妊効果が低下する可能性があります。
アフターピルは排卵を抑制することで避妊効果を発揮しますが、既に排卵が起こっている場合、ピルの主な効果が発揮されないことがあります。
そのため、排卵後の服用では妊娠を防ぐ可能性が低くなります。
特に、性行為が排卵直後に行われた場合、アフターピルを服用しても避妊効果は98%から80%程度まで低下し、避妊に失敗してしまう可能性があります。
この場合は、妊娠のリスクが高まるため、ピルを服用後も早めに妊娠検査を行うことが推奨されます。
ただし、アフターピルの種類によって効果が異なる場合があるため、医師に相談して適切な対応を取ることが重要です。
当記事の医師監修
神戸 優子 医師
経歴
久留米大学医学部 卒業
久留米大学病院 初期臨床研修医として入職
久留米大学病院 初期臨床研修修了
久留米大学形成外科・顎顔面外科学講座 助教
東京美容外科 熊本院院長
資格
日本形成外科学会 認定専門医
所属学会
アフターピル飲んだのに陽性に関する参考文献
- 緊急避妊薬ファクトチェック -厚生労働省
- オンライン診療研修実施概要 -厚生労働省
- 緊急避妊薬販売に係る環境整備のための調査事業 -厚生労働省医薬局医薬品審査管理課
- 経口避妊薬ファクトブック -株式会社ネクイノ
- 緊急避妊Q&A -一般社団法人日本家族計画協会
- 緊急避妊について-日本産婦人科学会
- 使用成績調査結果のご報告 緊急避妊剤 レボノル錠 -アスカ製薬株式会社
- Emergency Contraceptive Pills -FIGO the global voice for women’s health
- アメリカ食品医薬品局(FDA)
- 世界保健機構(WHO)
- ノルレボ錠1.5mg-アスカ製薬株式会社
- Ulipristal acetate taken 48-120 hours after intercourse for emergency contraception-PMID:20093897-Paul Fine at al
- 緊急避妊法の適正使用に関する指針-日本産科婦人科学会
- ノルレボ錠 0.75mg(レボノルゲストレル)臨床概要-株式会社そーけい